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脳卒中リハビリ 脳出血編②



 今回は、脳出血編①の続編になります。①では、脳出血の機序や、疫学を含めた特徴、原因や対策まで、述べさせて頂きました。今回の脳出血編②では、急性期から、リハビリの大切なポイントについて述べさせて頂きます。



脳出血が起きてしまったら


 初めに大切なことは、「早期発見、早期治療」が最重要となります。脳出血が起きた時に迅速に対応するために、本人の意識レベルや、周りの環境が大切となります。




これは、身体の異変に気づいた時に、「本人の意識があるか?」、「本人の意識がない時、周りに気づく人はいるか?」といった環境が、早期発見を成功させる過程で、重要な鍵となるからです。


脳出血が起こり、以下のような身体の症状が出た場合、本人や周りの人が、「何かおかしい。」と異変を感じて、救急車を呼ぶことが必要です。



・ 突然の激しい頭痛

・意識の混濁・昏睡

・手足の麻痺・しびれ(特に片側)

・言語障害(うまく話せない、言葉が出ない)

・視力障害・物が二重に見える

・嘔吐・けいれん

・ふらつきや歩行困難





 発症時の対応として、一人でいるときも、誰かに電話で助けを求めることで、早期発見に至るケースもあります。意識レベルは、脳の出血量や部位により、個人差があります。重度の方で、起きた直後は意識があり、電話で家族に異変を伝えることができた、というエピソードも聞きます。その後は、直ぐに家族が救急車を呼んだことで、本人は動けずとも、救急隊が駆けつけ、早期治療を受けることが出来たとのとこでした。上記の兆候を知っておくだけでも、発症した時に、迅速な判断ができます。


 その他、就寝中にいつもとは異なる、大きないびきをかいている時も、脳卒中発症の特徴であります。近くの家族が異変に気づき、声掛けをしても、反応が薄い、意識が混濁している。そんな症状が見られる時に、家族が救急車を呼び、早期治療につなげられるケースがあります。毎日を、一緒に過ごしている家族だからこそ、直ぐに異変に気づき、対処することが可能です。





脳出血の予後予測



脳の出血量


 救急搬送後、CTにて、脳画像検査が入ります。脳内で何が起こっているかの確認もそうですが、出血や梗塞部位、またはその大きさを確認することで、処置の判断がされます。脳出血の場合は、出血量と、脳室を含めた脳内の偏位により、手術の必要性が判断されます。手術をせずに、点滴の処置のみで、経過を観る場合は、保存療法という形になります。






 脳画像は、脳を輪切りにした横断面を診ることができ、出血の体積から出血量を測ることが可能です。救急の場面では、時間がかからないCT画像を撮り、出血量を確認することは、手術有無の判断材料となります。出血量が多い場合は、脳内の圧力が上がり、下図の脳室や、左右の偏位が生じてしまいます。脳出血量が多いことで、脳組織の位置にズレが生じることを、脳内ヘルニアと呼びます。出血量もそうですが、この血腫によって、脳内ヘルニアが起きているかどうかも、手術適応の判断材料になります。





 個人差はありますが、出血量や手術有無により、予後は傾向が見られます。まず手術を行わない保存療法は、開頭術と比較して、軽傷例が多いため、予後が良好な割合が多いです。出血量が30ml以上で、脳内ヘルニアが認められる郡では、開頭術を施行し、死亡率が下がることは、統計上明らかになっています。しかし、出血量が多い場合、開頭術を行うことで、麻痺の後遺症が良好になるというような有意差はみらません。手術有無ではなく、起きた出血量や場所により、予後の重症度はある程度、傾向が見られます。脳出血が起こったとき、重症度をきるだけ低くするためにも、早期発見、早期治療が最重要です。その後の手術有無は、医師の判断となります。



脳の部位



 次に、脳卒中において、予後判断をするのに、脳内のどこで起こったか、を確認することが大切です。脳出血は、疾患名として、下記の部位ごとに名称がついています。


・被殻出血

・視床出血

・皮質下出血

・脳幹出血

・小脳出血

・くも膜下出血


脳部位に関しては、前回の脳卒中リハビリ〜脳出血編①〜で、お話させて頂きました。脳の各部位は、脳地図があるように、それぞれの働きを担っています。上記の各部位で損傷が起こることで、後遺症には特徴がみられます。脳卒中では、片麻痺を生じることが多いです。中には、手足は動くが、感覚障害や、バランス機能が著しく障害されているケースも見られます。脳幹や小脳では、体幹やバランス機能を担っている部位のため、手足の動きよりも、バランス機能に対して、多くアプローチを行うことが多いです。






急性期リハビリで大切なこと


 予後の決め手として、出血量や部位の話をさせて頂きましたが、次に回復過程で大切なことに関して述べさせて頂きます。脳出血発症後、早期発見と早期処置により、生存率や、後遺症の重症度は、改善していきます。それと同様に、リハビリもできるだけ早い段階で、多くの量を行っていくことが大切です。





 リハビリ過程を、脳卒中リハビリ〜脳梗塞編〜にて、述べさせて頂きました。初めに急性期では、血圧などバイタルサインと呼ばれる、全身状態を確認していきます。異常がなく安定してくれば、できる限り早く、ベッドから起こしリハビリを開始することが大切です。ベッドで寝ている状態と、起きている状態では、全くカラダにかかる負荷が大きく異なってくるからです。



 一つ目に、起き上がり、ベッドに座った状態でも、体幹や肩周りの筋肉を働かせることができます。頭の重さや、上半身の体重を支えられるだけでも、カラダの中では、大きな筋力が必要となります。座った後、更に立つことによっては、全身の筋力を使うことになります。筋力や心臓へ負荷をかけることで、全身の血液循環を、圧倒的に高めます。風邪や発熱により、しばらく寝込んでしまってからでは、起き上がることが大変な経験があると思います。脳卒中後にベッドから起き上がることは、初めに非常に負荷のかかるリハビリですが、できるだけ早期に行うことが大切です。




 二つ目に、脳内の血流量を上げることが大切です。寝ている状態から、起きて筋肉や、心臓に負荷をかけることは、脳内の血流量を上げることにもつながります。脳出血で、初めは、脳が腫れている状態で、覚醒と呼ばれる目覚めや、反応が悪いことがあります。急性期を経て、振り返ると、その記憶がないという、覚醒状態が低い状態にあるケースが多いです。早期離床と、リハビリによりできるだけ負荷をかけるということは、脳内の血液循環を改善させ、覚醒状態を上げることに繋がります。





 三つ目に、感覚を入れることが必須です。感覚とは、皮膚に触れる感覚や、カラダを保つ感覚、動かす感覚があります。ベッドから起き上がり、体幹の筋肉を入れて座る。立って、麻痺側の足に、しっかりと体重をかけていく。これらの基本的な動作が、麻痺の後遺症を改善させるために、感覚的なアプローチとして、非常に大切です。特に急性期から回復期において、カラダの改善は、非常に大きくみられる時期になります。変化の大きい時こそ、多くリハビリの負荷をかけることで、脳の血流量を上げて、後遺症を改善していく。そして麻痺の部位の感覚を入れていくことで、受傷した側の脳の多く働かせることにつながります。







脳卒中後の生活を、左右すること



 脳卒中が起きた初めの段階から、早期発見と早期治療。そしてなるべく早く、リハビリを開始し、出来るだけ多くリハビリを行っていくことが大切だと述べてきました。それに加えて、これらをも変える可能性のある、大切なことが、リハビリの過程にはあります。


それは、「誰と」、「何を目指すか」ということになります。


急性期を終え、回復期を経て、リハビリを諦めてしまう方も中には、非常に多いです。「もうこれ以上良くならない」と言われたことが、今後の生活を左右してしまいます。歩けない、手が動かせない。でも諦めずに、できるようになりたい。それが「何を目指すか」に当てはまります。もう良くならないと思ってしまうと、何を目指すかということは見えづらいです。「何を目指す」と同時に、どこまでいけるかを指し示す「誰と」ということも、予後には大切です。もう良くならないと言う人と、ここまではまだ良くなると言う人。あなたは、残りの人生でどちらを選びますか。



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