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股関節の痛み

更新日:11月22日


今回は、整形外科疾患の中でも多い、股関節のあらゆる症状に対して、メカニズムや対策を述べていきます。


股関節の役割


 股関節は、カラダの真ん中に位置し、上半身と下半身をつなぐ、大きな関節です。特に、上半身と下半身を連動させ、カラダの重心やバランスを保つ、大きな役割を果たしています。歩行動作の分析では、上半身を”パッセンジャーユニット”、下半身を”ロコモーターユニット”と呼ぶことがあります。パッセンジャー=乗客、ロコモーター=運動部というと、イメージがつきやすくなるかも知れません。下半身では、脚が運動部として働き、上半身は、乗客が乗っている状態です。股関節は、ロコモーターの大きな駆動部分でありがながら、パッセンジャーをコントロールしなくてはいけないため、非常に重要な役割を担う関節ということがわかります。



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 カラダには、全部で260箇所以上の関節があると言われています。その中でも、大きな関節として、肩、肘、手首、股関節、膝、足首は、皆さんも認識しやすいところだと思います。股関節は、肩の次に自由度が高い関節で、上半身・下半身を繋ぐ、戦略豊富な関節です。


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 ここでいう”戦略豊富な関節”とは、カラダの真ん中に位置し、関節の動く方向性が多いため、使い手によって、様々な方向への動作が可能ということです。日常生活で、立つ、歩く、階段を登る、物を避けるなど、人は、目や耳、または手探りで情報を集め、目的に向かって、動作を行っています。


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 向かってくる障害物を避ける場合は、大きく股を開いて横へ避ける人もいれば、後ろに股関節を伸ばして後退りをする人、スピードがついている時は、ジャンプして跨ぐ人もいると思います。肩の関節もそうですが、股関節のように自由度の高い関節では、その場の状況や、使い手の状態により、豊富な運動戦略をとることが可能です。カラダにある各関節の構造は、日常生活を効率良く、便利に過ごせるような構造になっており、それぞれ得意な動きや役割を持ちます。そんなカラダの特徴を知っておくだけでも、長期的なカラダとの関わりを、より良いものにしてくれます。

 

 大まかに股関節の特徴を述べていきましたが、次はより詳しく股関節の構造を見ていきます。



股関節の構造


 股関節は、大腿部の大きな骨、大腿骨と、その受け皿となる骨盤から成り立ちます。関節としては、肩関節の次に、自由度が高い構造となっており、脚を高く上げたり、開いたり、しゃがんだりと、様々な動作に適応できるように、後ろは少し、その他の方向は、可動域を広く持つ関節です。


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              図1:骨盤と大腿骨(靱帯あり) 


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             図2:側方から見た股関節(靱帯なし)


図1は正面から見た画像で、図2は、側方から周囲の靱帯を取り除き、骨のみを写した画像です。これだけ見ると、接地面も非常に少なく、肢の部分がとても細い印象を受けます。より詳しく接地面を見てみると、大腿骨側が球状(大腿骨頭)で、その受け皿は、丸いカップのような形(臼蓋)となっています。この形状が、様々な方向への動きを可能にします。


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 股関節は、しゃがんだり、開脚をしたりと、様々な動きに対応できるように、球状の関節となっていますが、受け皿が斜めに設置されていることで、周囲の筋肉による微調整が必要となってくる関節でもあります。



◾️前捻角と頸体角


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 股関節先の付け根の部分には、前捻角と呼ばれる、効率的に股関節機能を果たす大切な角度が設けられています。これは、骨頭と、その受け皿の設置面積、”被覆率”を決定するために非常に大切です。この被りの大小により、股関節における有病率が異なるが明らかとなっています。


 前捻角と呼ばれる角度は、時に大きく持つ方もいます。通常は、男性は10~15度、女性は15~20度が平均と言われています。特に変形性股関節症など、女性に有病率が高いケースでは、この前捻角度が男性より大きいことが特徴が見られます。更に前捻角が平均値より過度に大きいと有病率も大きいという相関があります。この前捻角が大きいことを前捻、小さいことを後捻と呼びます。逆に後捻の方は、足が外に開き、骨盤が後ろに倒れ、いわゆるガニ股の姿勢をとりやすいことが特徴です。上記の平均値を見ても、男性の方でガニ股が多い理由がわかります。


 この肢の角度が深いだけでなく、受け皿が狭いといった先天的な特徴を持つ方も、一定の割合で見られます。これは、先天性臼蓋不全と呼ばれ、小児で脱臼を起こす場合、装具を使用して発育形成を促すこともあります。


予め知識として、股関節の構造や、自身のカラダの特徴を知っておくことで、先天的なハンディキャップがあったとしても、上手く付き合っていくことが可能です。


次は、股関節の骨の形状を捉えた後は、周囲にある筋肉を見ていきましょう。





股関節周囲の筋肉


股関節は、非常に自由度の高い関節ではありますが、歩行時や動作中に、上半身=パッセンジャーのバランスを取るために、様々な筋肉が効率よく働いています。股関節を成り立たせる筋肉は、大きく分けて以下の2つに大別します。インナーマッスルと、アウターマッスルです。インナーマッスルというと、体幹トレーニングなどでよく聞きますが、股関節や他や肩関節にも小さな筋肉が存在します。


◾️股関節のインナーマッスル

 腸腰筋外旋六筋(梨状筋、大腿方形筋、内閉鎖筋、外閉鎖筋、上双子筋、下双子筋)

外旋六筋と呼ばれる、骨頭を包みこむように、張り巡らされております。これは、車でいう車軸を止める、ベアリングのようなもので、接地面の狭い骨頭部位をぶれないように守ってくれています。歩くときや、立ち上がるとき、しゃがんでからジャンプするときも、まずはこの小さい筋肉が、要の部分を固定することで、次の大きな動作へ正しく波及させるが可能となります。

 前捻角度の大きい方や、先天性臼蓋不全、変形性股関節をお持ちの方は、このインナーマッスルが上手く働かずに、硬い状態であることが多いです。関節内の深くにある、細かい筋肉であるため、専門家による施術をお勧めしますが、セルフエクササイズで緩和することも可能です。


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◾️股関節のアウターマッスル

 お尻の筋肉の代名詞として、大臀筋小臀筋中臀筋があります。アウターマッスルとは、インナーと比べて、大きな筋肉を指し、長さや体積も大きなものとなります。大臀筋は、股関節を伸ばす方向に働く大きな筋肉ですが、スクワットなど、しゃがむ動作や、階段の登り降りにも、活躍する筋肉です。膝を守るために、非常に大切な筋肉です。この大臀筋は、下方向に働き、次の中臀筋は、側方に働く筋肉と大まかに解釈して下さい。特にこの中臀筋は、歩行動作において要の筋肉と言っても過言ではないでしょう。大腿骨は、骨頭から頸部の肢があり、骨幹部はまた内側を向いています。この浅いVの字を、骨盤の下で、物理的に角度を調整しているのが中臀筋です。脚を外に開くときに使う筋肉ですが、逆に内側にいかず止めることで、股関節内を守る、または膝のブレを防ぐためにも、大きな役割を担っています。


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 股関節周囲の、インナー、アウターを見て、次に大腿部では、”太もも”を形成する大きな筋肉が膝下まで長く続いています。前面では、大腿四頭筋、後面ではハムストリングスと呼ばれる体積の大きい筋肉が、大腿部の太ももをつくっています。この前後の筋肉の配分を決めるのも、股関節の役割であり、股関節のインナーが働かないと、粗大な筋肉が結果として、偏りのある筋緊張として、痛みに変わってしまいます。膝の痛みを守るために、股関節の安定性や正しい働きを獲得することが必須です。


股関節の疾患

・変形性股関節症 (OA: osteoarthritis)

・人工股関節置換術 (THA: total hip arthritis)

・大腿骨頸部骨折 (ONFH: osteonecrosis of the femoral head)

・大腿骨転子部骨折

・骨盤骨折

・大腿骨頭壊死症

・股関節インピンジメント(FAI: Femoroacetabular inpingement)

・梨状筋症候群

・座骨神経痛

「〜骨折」という疾患は、名前の通り、転倒や何らかの外的な要因により、股関節内で構成する骨が折れてしまった状態です。変形性股関節症は、先天的な関節構造のハンディキャップも含めて、関節の不具合からくる疾患という、捉え方でいいでしょう。

 今回は、各疾患の内容に触れ、股関節の基本構造を捉えた上で、痛みや疾患と上手く向き合う方法も述べていきます。


◾️大腿骨頸部骨折

 大腿骨頸部骨折は、高齢者の骨折の中でも、非常に起こりやすいと言われています。バランスを崩し、後ろに転倒する時に、臀部を勢いよく撃ってしまうことで、大腿骨の付け根の部分が骨折してしまう疾患です。近い場所で、大腿骨転子部骨折と呼ばれる、少し大腿骨の曲がり角で起こる骨折も、転倒により起こりやすいです。

 多くは固定手術により、再び体重をかけて、歩くことは可能になりますが、リハビリには、2点の大きな注意点があります。

 1つ目は、この骨折は高齢者に多く起こっていると言うことです。骨折を起こすと、手術前後と、安静期間があるため、寝たりきり状態がやむおえない時があります。成人の方は、直ぐに筋力を取り戻しやすいでですが、高齢者は、落ちるのが速く、取り戻すことに時間がかかります。骨折で手術固定して、すぐに歩ける方もいます。高齢者の場合、転倒を起こす前から、筋力低下がみられた結果、転倒骨折に至ってしまうケース多いです。術後に、筋力や体力をつけて、歩行の再獲得と、再び転倒しないリハビリは必須と言えます。

 2つ目に、手術によるダメージがあること。手術侵襲と言いますが、股関節の上から、皮膚を切開し、ボルトを入れて固定する作業があります。なるべく術後の生活を考慮し、近年は、筋肉や皮膚にダメージがない術式となっていますが、カラダを切っているので、影響は0ではありません。切った部分の皮膚の柔軟性を獲得すること。そして先ほど説明した、初めにインナーマッスルを働かせ、周りの大きな筋肉をつけていくこと。骨の深部まで、メスが入るため、この外旋六筋周囲の影響は、見られます。初めに、関節の可動域や、インナーを含めた、股関節の最低限の筋力を備えてから、歩きなどの動作練習を積み重ねていく必要があります。ここでも、股関節の特徴を捉え、正しい股関節機能を取り戻すことが、リハビリでは大切です。


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◾️変形性股関節症

変形性股関節症とは、様々な原因により、股関節内の変性、摩耗により、股関節内が破壊される状態を指します。CT、MRIなどで、関節内の状況を診て、判断することができます。大抵は、関節がすり減り狭くなっている関節の狭小化や、骨棘の形成が確認されます。

変形性股関節症の原因として、1次性と2次性に分けられます。1次性とは、原因がはっきりしていないもので、2次性は、先天性による構造的な以上や、関節リウマチ、外傷後などが挙げられます。この1次性は、加齢とともに、股関節が変性し、変形性股関節症に至るケースとなり、はっきりとした原因がわかっていない変形性股関節症と定義されています。ですが、リハビリでは、なぜ関節が狭小化し変形性股関節症に至ったかという理由を明らかにし、リハビリを進めていかなくてはなりません。関節内が狭小化し、痛みが出る原因は、誤った負担のかかる動作をしていないか、背骨や膝などの周囲の関節に異常はないか。あらゆる方向性を探り、総合的に評価し、原因究明を図ります。元々痛みがなかった部分に、痛みが出るということは、明らかに関節内にストレスがかかっており、大事なサインとも言えます。


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要因として考えられること

●前捻角が過度に大きい

変形性股関節症の方の特徴として、前屈みになり、股関節を内に入れて固定する姿勢が見られる方が多いです。これは、股関節内の骨頭と、受け皿の臼蓋の接地面、被覆率を多くしようとする、代償動作です。前捻角が過度に大きかったり、臼蓋との被覆率が小さい方に起こりやすいです。

これは、股関節の付け根の部分、前捻角が過度に大きい”前捻”の方に該当します。女性は、男性に比べて、前捻角の平均値が大きいことから、変形性股関節症を罹患する割合も女性が多いのが特徴です。この前捻角の角度が大きい場合、歩きの前半、踵をついてから股関節が内側に入ってしまうことが明らかとなっています。1) これは、先程申し上げた変形性股関節症の方の代償的姿勢を、強めてしまう歩行パターンとなります。

 もう少し歩行を掘り下げると、股関節は骨盤と、上の背骨の動きも連動し、後方に回旋する動作が見られます。歩行の前半にて、股関節が内側への動きが強くなることで、この歩行の推進力を生み出す、一連の回旋動作を止めてしまうことにつながります。では下方の膝への影響はというと、股関節が内側に入ることで、膝が外反と言われる、X脚の方向にストレスがかかることもわかっています。1) この前捻角による姿勢異常は、もう1パターンあります。多くは前捻による股関節異常が多いですが、2つ目に、後捻による、股関節異常のパターンもあります。

前捻角の大きい”後捻”では、股関節が開きやすく、骨盤が後ろに倒れ、ガニ股の姿勢が特徴として見られます。これも、いわゆるガニ股歩きが強くなる、股関節が曲げにくくなる、膝が痛むといった結果が見受けられます。股関節の開きが強いと、股関節前方の関節唇と呼ばれる、臼蓋にある軟骨の前方部分にストレスがかかります。関節唇だけでなく、股関節前方の筋肉や軟部組織も、曲げた時に痛みが出やすくなります。下方の動きとしては、膝が外側に逃げる”スラスト”と呼ばれる、関節ストレスがかかることで、最終的に変形性膝関節症につながりやすいことも特徴です。

変形性股関節の中でも、引き起こされる一つの要因として、前捻角を挙げました。この影響により、2パターンの経路にて、上方の体幹から、下方の膝に影響を与えることが、示唆されています。変形性股関節症の1次性の中でも、先天的な大腿骨の角度異常をお持ちの場合は、その次の腰や膝などの痛みを予防することも大切です。必ずしも、痛みが出て歩けなくなるのではなく、上手く付き合うことで、痛みを予防することが可能です。

 

●頸体角の小さい、大きい

この頸体角とは、骨頭から頸部と、骨幹部の角度になります、小児では、130度以上ありますが、成長するにつれ小さくなり、成人では、約125度が正常とされています。125度以上あることを、外反股。125度以内であることを、内反股と呼びます。骨が真っ直ぐでは、なくわざわざ角度をつけて、複雑な構造になっているのは、理由があります。これは、股関節にかかる体重負荷を最小限にすることと、荷重を分散させることが可能です。ランニングやスポーツ動作など、様々な動きに対して効率的に働かせることが可能となります。

 頸体角があることで、股関節に対し、体重負荷を分散させることが可能となりますが、周囲の靱帯や、特に筋肉をバランスよく働かせることが必要です。先程述べた、股関節周囲の筋肉ですが、インナーマッスルに偏りがなく、均等に働いているか。またアウターの筋肉として、重力に抗する筋力があるかを確認する必要があります。

●背骨の異常

背骨、脊柱の疾患も様々なものがあります。特に腰部、腰椎と言われる5つの背骨では、ヘルニアや、滑り症、脊柱管狭窄症など、代表的な疾患が挙げられます。股関節の痛みは、周りの関節へ影響し、逆に腰、膝からも影響されることもあります。股関節の痛みの評価では、特に時系列で、どの関節に痛みが始まったか、を見ていくと、根本原因が探りやすいです。元々、側湾症があり、股関節への負荷が左右差として生じることで、変形性股関節症に至るケースもあります。腰と股関節が、同時に痛みがあるケースも多いため、複合的に、改善させなくてはいけません。特に腰椎では、骨盤と股関節の動きに連動して、正しい動作や、可動域を確保する必要があります。股関節への施術のみではなく、周囲の関節にアプローチし、複合的な動作の修正が必要です。


リハビリスタジオ飛ぶカラダのアプローチ

評価

◾️CT、MRI画像の確認

 股関節内だけでなく、骨盤の角度や、背骨の左右差により、股関節にかかるストレスを確認することができます。狭小化の度合いや、骨棘の形成箇所を確認し、リハビリのアプローチを決める材料となります。股関節内では、骨頭と臼蓋の位置を確認し、被覆率を出すことで、リハビリのアプローチに活かしていきます。

◾️痛みの経過や評価

 いつから痛みや違和感が出てきたか。

 どこの部位で、どんな時に痛みが出るか。

 圧痛所見から、筋肉や靱帯、軟部組織の状態を確認します。

◾️生活習慣

 カラダに負担がかかっている動作の確認

 仕事内容の確認

 食事や、基礎疾患まで

◾️関節可動域の確認

 骨性によるもの、筋性による可動域制限

 痛みが出る可動域

◾️動作分析

 立位姿勢、立ち上がり、歩行

 痛みの原因となる動作を、痛みの箇所と照らし合わせ原因を明らかにしていく


リハビリプログラム

 評価後は、多角的に情報収集し、原因や課題を明らかにしていきます。ここまでは、専門的知識を持つ、理学療法士の仕事ですが、リハビリの実施から、実際の動作や、生活習慣を変えていくことも大きな課題となります。頭で理解していても、実際にそれを改善していくことは、時間がかかり、積み重ねの練習が必要なケースも多いです。施術で改善していく部分もあれば、患者と課題を共有し、自ら問題の改善を図ってもらう部分もあるのが、リハビリです。

 大切なことは、痛みという大切なサインを無視せずに、原因に対して、早めにアプローチを行うことです。整形外科疾患では、特に、関節は言わば消耗品であり、最後まで痛みなく、関節を安定して使う必要があります。傷つき、ボロボロになってからでは、手術や、痛みを背負いながらも、余生を過ごす状況になるため、早く気づく「早期発見」と、早めに介入する「早期リハビリ」が大切です。

 カラダの違和感を無視せずに、カラダと向き合うことは、大きな疾患になる前に、大切な予防となります。


具体的なリハビリ方法

1.関節可動域の調整

 どの筋肉、どの組織に異常を来しているのか。触診と、可動域を痛みのない範囲で少しづつ確認しながら、可動域を広げていきます。ここで筋肉や他の軟部組織による痛みを緩和し、動きやすい本来のバランスの取れた関節を再構築します。

2.筋力強化

 関節可動域と、正しい筋肉や軟部組織のバランスが取れたら、実際に弱くなっている筋力に対して、関節を守る筋力強化を図ります。誤った動作により、関節へのストレスが原因となっていることが多いですが、初めにカラダや動作を支えられる、強い関節を作ることが先決です。

3.動作練習

 関節の可動域やバランス調整、筋力がある程度得られるようになると、次は動作練習へ移行します。具体的には、座った姿勢で骨盤の動きを確認しながら、立ち上がり。そして立位姿勢から、歩行など連動した動きの確認を行なっていきます。これらの動作修正を行い、動作方法の再学習を行うことで、筋力強化にもつながります。誤った動作をしている方の大半は、正しい動作に耐えうる筋力が足りていないことが、多く見受けられます。動作に耐えうる、筋力や、動作方法を身に付けることが、関節を長く保っていくために、必須です。

4.セルフコンディショニングの定着

 次に、リハビリを終了後も、より長く関節を保っていくために、自主トレーニングや、動作管理ができるかを確認します。集中的なリハビリ期間で、改善しても、また再発となっては、振り出しに戻ってしまいます。効果を長期的に持続するためにも、セルフコンディショニングは、必要です。特に、長年に渡り、変形性股関節症を患っている方は、腰や膝などの周囲の関節も変形を来している場合があります。カラダを総合的に、自身で整えていかなくてはいけません。中には、どうしても定期的なリハビリが必要なケースもありますが、なるべく人の手に頼らずに、自己管理を行えることが、心構えとしても重要です。

【参考文献】

1)湯田健二,石井慎一郎.前捻角の違いが歩行時の膝関節運動に及ぼす影響.Vol.38 Suppl. No.2 (第46回日本理学療法学術大会 抄録集).

2)畠山智行, 神谷晃央,佐藤香緒里. 大腿骨頸部前捻角が股関節屈曲に及ぼす影響.理学療法学科.32(6): 885-860, 2017.





 
 
 

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